ストレスから身を守るための認知機能『防衛機制(適応機制)』の17パターンを解説!

防衛機制(適応機制)とは、人がストレスを感じときに、それを『自分の認知を変えることで』解消しようとする行動のことです。

防衛機制にはさまざまなパターンがあることが知られています。

今回は細かな分類をふくめた合計17種類の防衛機制を紹介します。

昇華

ストレスを芸術などの社会的な活動によって解消する防衛機制を昇華とよびます。

有名な芸術家であれ、無名の一般人であれ、昇華を出発点として芸術をはじめる人は多いです。

中には『葛藤や欲求不満があるときの方が作品に熱を込められる』という人もいますが、これは昇華の働きかけが関係しています。

退行

一般的には幼児期のような振る舞いでストレスを解消することを示します。いわゆる幼児退行ですね。

しかし退行は必ずしも『幼児期のような振る舞いをするもの』とは限りません。『ストレスを過度な食事で和らげる』など一次欲求的な行動によるストレス解消も、退行と呼ぶことを頭の片隅に入れておきましょう。

抑圧

ストレスのもととなった感情や思考を押さえつけて、心理的な距離を取ることでストレスから逃れようとする防衛機制が『抑圧』です。他の防衛機制と同時に用いられることも多いです。

反動形成

抑圧された感情と真逆の感情を抱くことで、ストレスのかかる状況に適応しようとする防衛機制が『反動形成』です。

抑圧された攻撃衝動を否定しようとして親切に振る舞ったり、逆に相手への好意を隠そうとして無関心を装ったりするなどの行動パターンがあげられます。

分離

思考と感情を切り離そうとすることでストレスの解消をはかるのが『分離』の防衛機制です。

なにか悲しいことがあったとき、悲しみの感情をどこか遠くに追いやってしまいたいと思うときはありませんか? 切り離し、心理的な距離を取ることでストレスから遠ざかろうとするのです。

知性化

感情より論理を優先することでストレスを緩和しようとする方法が『知性化』です。

感情を切り離そうとする『分離』とは異なり、客観的な視点に立つことでストレス原因との心理的な距離を取ろうとするのが特徴です。

分離も知性化も、心理的な距離を取ることでストレスを遠ざけようとする点では同じですが、そのためのアプローチが違うのですね。

取り消し

ストレスのもととなった行動を停止することで、ストレスから逃れる方法が『取り消し』です。

いわゆる『お祓い』などの儀式はこの『取り消し』の心理効果が働いているとされます。

たしかに宗教の儀式としての『お祓い』は、その人に憑いている悪いものを取り消す、というようなイメージがありますよね。

逆転

心的ダメージや驚異・不安などを発生させる相手と自分を入れ換えることで、ストレスを解消しようとする防衛機制が『逆転』です。

『逆転』は虐待されていた人が逆に虐待をするなど、加害者と被害者を入れ換えることで、認知的な合理化をはかろうとします。

置き換え

ストレスを発生させる相手を、認知上なにか別のものに置き換えることでストレスを低減させようとする方法が『置き換え』です。

嫌いな相手を物語上の悪役や、凶暴な動物などに例えたり、あるいは人前に立って話をするのが苦手な人が、目の前の人たちを人ではなくキャベツだと思い込もうとするなどの行動が、この『置き換え』に該当します。

合理化

自分の思考や行動が論理的・道徳的に正しいものであるとこじつけることでストレスから逃れようとする方法が『合理化』です。

ものを壊してしまったときに『いつかは壊れるものだから仕方ない』と自ら納得させようとする行動がこれに値します。

同一視

他の誰かが自分と同一のものだと思い込むことで、自らが実現できない欲求を、その誰かに実現させるのが『同一視』です。

【『自分では達成できない欲求を実現できる誰か』を、自分自身であるかのように認知上して、その人のことを応援する】というような状態が一般的な同一視のパターンです。

【アイドルを自分のことのように応援し、そのアイドルの成功を自分のこととして喜ぶ】という状態は、同一視の働きかけがある場合もあります。

否定

ある特定の感情や記憶、思考や欲望を無かったことにして、ストレスそのものから逃れようとする方法が『否定』です。

感情を心の奥底にしまい込む抑圧とは異なり、心の中からその事実そのものを消してしまうが特徴です。

否認

自分にとって受け入れることのできないトラウマを、現実の認知をねじまげることで否定する方法が『否認』です。

【不慮の事故で子どもを失った母親が、『現在子どもは海外旅行中で国外にいる』という空想世界をつくりあげる】などの状態は、否認の働きかけによるものです。

投射

自分の中にある欲望や感情を自分以外の誰か(自分の子どもなど)にすり替えることで、欲求不満を解消しようとする方法が『投射』です。

「自分の代わりに他人に欲求を実現してほしい」「自分の欲求を他人に投射することで、欲求の心理的距離を遠ざけたい」という心理的な働きで、投射が行われます。

取り入れ

他人の見た目や言動を真似することで、その他人がもつ属性を取り込み、自らの欲求を満たそうとする方法が『取り入れ』です。

プロ野球選手になりたい子どもが、憧れの選手の服装や髪型、言動などを真似する行動も『取り入れ』的な行動のうちのひとつです。

分裂

恋人や親など、自分にとって味方であるはずの相手が自分にとってストレスとなる行動をとったとき、相手についての【善のイメージ】と【悪のイメージ】を統合できない場合があります。

そんなとき、相手の善の側面と悪の側面を別人として認知上分裂させることでストレスの解消を行うのが防衛機制の『分裂』です。

投影的同一視

自分の感情を他人に投影して、その他人の視点で自分の認知をつくりあげるのが『投影的同一視』です。

少し難解な概念で意味がわかりづらいかもしれませんね。端的にいえば、【他人を『自分が映る鏡』に置き換えて、鏡の自分を褒めたり貶したりすることで欲求不満を解消する(本当は自分が褒められたい or 貶されるべきだと思っている)】という防衛機制です。

まとめ

人は自我を守るために、様々な防衛機制を備えています。防衛機制そのものは悪いことではありませんが、時として現実の認知を歪め過ぎてしまう場合があります。

人にはこのような認知上の自己防衛システムが働くこと、その仕組みが時に現実を歪めていることを知っておけば、日々の暮らしの中で、気持ちよく周りの人と過ごすことが出来るかもしれませんね。