生きるのが辛い人へ。『自分を変える』は『自己否定』だという話

あなたはなにか、自分に対して「こんなところが嫌だから直さなきゃいけない」「ダメだから変わらなきゃならない」と、”より良くなろう”としていることはありませんか?

もしあなたが、今の自分を『不十分』だとして、より良くなろうと自分を変えようとしている最中であれば、一度立ち止まってみてください。

それはあなたにとっての本当に自然な生き方を、損なうものではないですか? あなたの本来の気質や性格に反しないものですか?

今回は、『自分を変える』ことと『自分を否定する』ことの関係を紹介していきます。

『自分を変える』は『今の自分を否定する』こと

先に結論から話すと、『自分を変える』とは『今の自分を否定すること』に他なりません。

なぜなら、変化とは根源的に『現状を良しとしないもの』だからです。

現状が良くないから変化したい、今の自分がダメだから直さなきゃいけない…このように、変化という概念そのものが自己否定の性質を帯びているのです。

だから『変わりたい』『もっと良くなりたい』という気持ちは、『今のままではダメだ』と自分を否定することと同じなのです。

『自己否定』は別に悪いことじゃない

変化は否定そのものです。しかし、だからどうしたと思うエネルギッシュな方もいることでしょう。その通りです。『だからどうした』で済ませられるのであれば、別に自己否定は特別取り上げる必要のないことなのです。

自己否定は悪いことではありません。

もし自己否定を全面的に禁止したら、世の中からまず真っ先に『教育』という概念が消えます。

『自己の研鑽』や『鍛錬』といった言葉も消えるでしょう。『研修』や『改善』には罰則が与えられるはずです。『受容』と『許容』そして『カウンセリング』だけが許される衰退の世界が、自己否定を完全に禁止した世界の行き先です。

『より良く在ろう』と心を奮い立たせるその”否定”の行為。それらのすべてが悪いわけではないのです。

問題は、”自分の心のバランスを崩すような否定”です。

(△ なおカウンセリングは否定とは対の『肯定』の行為です。もともと『否定』の性質を帯びた教育とは相性が悪いので、学校教育での生徒のカウンセリングは難易度が高いと言われています)

心のバランスを崩す否定は、生きるのを辛くしてしまう

強い否定、あるいは自身の根幹に関わるクリティカルな否定は、心のバランスを崩して生きるのを辛くしてしまいます。

人の心はそう強いものではありません。かなりタフに見える人でも、少し環境が変わるだけであっという間に心の均衡を崩してしまう場合もあるのです。

また小さな否定も積み重なれば心を大きく削ってしまいます。自分にとって大切な人に否定され続けた傷のある人は、そうでない人より心がダメージを受けやすい状況になってる場合もあります。

心の均衡を崩すと、仕事や学校に行ったり、毎日の家事や最低限の日常生活をするのが苦しくなります。心の根本のところで生きる気力を失うのです。

『自分を変えよう』『もっと良くなろう』とするのは良いことですが、自己否定のあまり生きるのが辛くなっては元も子もありませんよね。

誰しも否定が積み重なれば、本来の自分との乖離で心に負荷がかかるものです。

生きるのが辛い人は、一度「自分を変えなきゃ」「もっと良くなろう」と思うのをやめてしまいましょう。

今のあなたを否定する人や空気感なんて、無視してしまうのです。他人の事情なんて知ったことではありません。

そのままの自分でいることを、自分で許容するのです。きっと心のつかえが取れて、楽になりますよ。

自分を変えたい、でも生きるのも変わるのも辛い…という人へ

「そうは言っても、現状を変えないと自分の人生どん詰まりだ…」「辛いけど、今どうにかしないともっとひどいことになる」

そのような、心の均衡を無視してでもなんとか変わらないといけない状況にある人は、どうすればいいでしょう。心はずたぼろ、でもここで現状を受け入れた先には緩慢な地獄しかない…

まず言えるのは、自己否定には限界があるということです。

自己否定だけで厳しい現実を乗り越えるのは苦難の道です。場合によっては、自己の否定と現実への絶望が悪い循環に陥って、一歩も動けないままひたすらに底なしの沼に落ちていくような場合もあります。

大切なのは次の2点です。

  • 否定をやめて、現状を受け容れること
  • 受け容れた上で、新しいアプローチを探しに行く

これらについてひとつずつ説明していきます。

否定をやめて、まず受け容れよう

自己否定をやめるのです。

よく勘違いしている人が多いのですが、自己否定はあなたの足を一歩前に進めさせてくれるものではありません。

自己否定の本質は、ストレスの回避です。

現実と願望の差異で心がストレスに苛まれるとき、ストレスを回避するために自己否定が生じるのです。

心が健康な人は、願望と異なる自分を否定するために適切な努力をします。しかし心が調和を失っている人は、願望と異なる自分の存在そのものを”無かったこと”にしたり、不出来な自分を許すために罰を与えたりします。

現状の無視や自罰的行為では人は歩けません。自己否定は、特に心が弱っているときは、かえってあなたの足を止めてしまうのです。

大切なのは『受け容れること』です。

受容は停滞かもしれません。自分はありのままの自分でいいのだと肯定することは、ともすれば現状を打破しようという未来への歩みの放棄ともとれるかもしれませんね。

しかし、違います。受容はたしかに停滞ですが、意味のある停滞です。立ち止まり、ひと息ついてもう一度走り出すための準備をする、戦略的な一時停止なのです。

自分の弱さと不出来な現状を受け容れてひと息つけば、新しい景色が見えてきますよ。

受け容れた上で、新しいアプローチを探していこう

現状を受け入れると、これまでは見えなかったことが見えるようになります。

今の自分になにが出来て、なにが出来ないのか…正確に把握した上で、現状打破のための新しいアプローチを探しに行けるのです。

大切なのは、これまでの視点や優先順位にとらわれないことです。

今一度あなたの解決すべき課題を見直して、本当に変えるべきこと・解決すべきことは何なのか、他にどんなアプローチがあるのかを再検討しましょう。

まとめ

「より良くなろう」と自分を変えることは、自分を否定することと同じです。

もしあなたが「生きるのが辛い」と感じているなら、一度自分の改善プロセスを停止して、「自分は今のままの自分でいいんだ」と肩の力を抜いてみましょう。

誰しも自己否定を繰り返せば、本来の自分との乖離で心に負荷がかかるものです。無理に変わろうとするのをやめれば否定のプレッシャーが消えて、心が軽くなるかもしれませんよ。

また、それでもどうにかして現状を変えないといけないというときであっても、一度自己否定をやめて、現状を手放しに受け容れてみることをおすすめします。

自己否定は心が健康なときは問題ありませんが、心が弱っているときかえて人の足を止めてしまいます。自己否定を繰り返せば、本来の自分との乖離で、心に負荷がかかってしまうのです。

大切なのは、受け容れることです。自己否定の本質はストレス回避なので、心が弱っているとそのまま現実逃避へと繋がりかねません。

不出来な現状を受け容れて、新しい一歩を踏み出せるようにしましょう。