生き方の種類を知る③ 『頼る』生き方のすすめ

人は社会的な動物です。誰かに頼る、という行動は人のコミュニケーションの根源的な行動です。

「生き方の種類を知る」というテーマで語る3記事目として、今回は「頼る生き方」を紹介します。

「頼る生き方」は特に固有名詞がついているようなものではありません。しかし、この生き方は人と人のつながりを大切にする、温かくて優しいものです。

優しくなれない毎日で、心が荒みかけている人にはなにかのヒントになるかもしれません。ぜひ読んでいってください。

「頼る生き方」とは

「頼る生き方」とは文字通り、誰かに頼りながら生きていく方法です。他力本願という意味ではなく、「頼ること」を通して心を開いて自分の弱さを受け入れることに焦点を当てています。

現代社会において、頼ることはさほど簡単なことではありません。頼ることを「自分の弱みを見せることになるから駄目だ」と封印する人、「相手の迷惑になるから」と抑圧する人…自分の中にある他人との心理的な壁は、思いの外ぶ厚いものです。

頼る生き方は、そんな心理的な壁を溶かして、信頼関係を築きながら生きる「コミュニティ重視」の生き方です。

優しくなれる「頼る生き方」

頼る生き方の魅力は単に楽できることではありません。頼る生き方の本当の魅力は、「優しく生きることができる」ところにあります。

毎日を優しい顔して、優しい気持ちで過ごせればきっと気持ちいいですよね。

でも、「優しく在りたいと思っているのにどうしてかいつも眉間にシワを寄せて、苛々している自分がいる」「それどころか、優しく接したいと思っている相手に強くあたってしまう」…そんな風に悩んでいる人も、多いのではないでしょうか。

誰かに頼ることは、自分の弱さを受け入れること

「誰かに頼る」ことは「自分の弱さを受け入れる」ことと同じです。そして、人は自分の弱さを受け入れると、人に優しくできるようになります。

なぜ自分の弱さを受け入れることが、人に優しくできることに繋がるのでしょうか。

これは「優しくできない」人の心理を紐解けばわかります。

人が優しくできないのは、弱さを否定したいときです。自分の負の感情を受けいれることができず、拒絶しようとして厳しい言葉を発したり、怒ったりしてしまうのです

多くの人にとって「弱さ」は否定したいものです。ヒトどころか、哺乳類共通の心理かもしれません。「弱みを見せれば不利に追い込まれる」という直感は、野生でも人間社会でも共通的な本能ですよね。

否定したい気持ちが大きければ大きいほど、人は怒ったり腹立てたりします。他人の目だけではなく、「弱い自分」を拒絶する自分の気持ちからも逃れるために、苛立ちや怒りで心をコーティングするのです(※)

※こういった自分の認知を守る心理的な働きを、防衛機制と呼びます。▽▽ 関連記事 ▽▽

ストレスから身を守るための認知機能『防衛機制(適応機制)』の17パターンを解説!

ですから逆に、「頼ること」が「人に優しくすること」に繋がるのです。自分の弱さを受け入れれば、もはや苛立ちや怒りは役割を失います。肩肘張らずに、リラックスした気持ちで相手と接することができれば、自ずと優しく振る舞うこともできるようになるでしょう。

「頼る生き方」のはじめかた

頼る生き方をはじめるには、まず自分の中にある心理的な壁を壊すところから始めましょう。

人は自分の心を守るためにたくさんの壁をつくります。何枚もの壁で心の奥底を誰にも(自分でさえも)見れないようにしてしまうのです。

しかし、そのような状態では人に頼ることは難しいです。相手を信頼していない表面的な頼りごとは、相手にもその「心の距離感」が伝わります。

自分の中にある心理的な壁を壊すためには、自己分析が有効です。まず、自分のことを紙に書き出してみましょう。自分が普段何を考え、どんなことに苛々するのかをお気に入りの手帳やノートに書き連ねるのです。

そして、書き出した中で「もっとも自分が否定したくなるような事柄」に焦点をあてて、そのように感じるようになったエピソードを深く掘り下げていきましょう。なにがきっかけで、どんな心の傷がそれを否定したいと自分に思わせているのかを、ほつれた糸をほどくように、優しく紐どいていきます。(もちろん、無理は厳禁です。ほどくのが苦痛だと感じたときには、その糸は今はそっとしておきましょう。)

ひとつ目の「否定したくなるような事柄」をほどき終えたら、また次の「否定したくなるような事柄」に移ります。

次を終えたら、またさらに次の…と、これを繰り返していくうちに、やがて自分の弱さを受け入れる準備が少しずつ出来ていくはずです。

そして、やがて「そのときが来た」と思えたとき、肩の力を抜いて自分の解決したい事柄を人に「頼って」みましょう。

それは些細なことでも構いません。重大な悩みごとの解決ではなく、日常のちょっとしたことでいいのです。

弱さを受け入れる準備体操が十分なら、それはすんなりと、自然な気持ちのままできることでしょう。

頼ることは悪いことではありません。心を開いて、相手への感謝の気持ちを伝えましょう。そうすれば、頼られた相手はきっと、今度なにかあったときに、あなたになら頼りやすいと思ってくれるかもしれません。

まとめ

「頼る」という行為は日常の些細なひとつのコミュニケーションに過ぎません。しかしその「頼る」というワンアクションが人と人の関係をやわらかく落ち着けるものに変え、日々をより優しいものに変えてくれます。

「頼る生き方」で優しい毎日を過ごしましょう。